[2009/10/27] Microscrew implant を用いた矯正歯科治療
 近年矯正歯科治療において、インプラントアンカーを用いた矯正歯科治療が広く行われるようになっています。インプラントアンカーは大きく分けて、プレートタイプのものと、スクリュータイプのもの(microscrew implant)があり、プレートタイプのものは強固に固定ができ安定性も高いのだが、埋入には高度な外科技術が必要とされます。それに対しmicroscrew implantは、埋入位置や方向など注意する点はいくつかあるものの、外科的な侵襲も少なく、矯正歯科医でも埋入することが可能です。このため、現在ではプレートタイプよりもmicroscrew implantの方がより多く選択されるようになっています。
Microscrew implantは、本来外科用の直径が小さいスクリューを矯正治療の固定源に用いたものであったため、当初はscrew headに矯正治療用のelementを装着することが困難で扱いにくい面がありました。しかし、現在では改良が進みいろいろな形状のscrew headが開発され、矯正用線を装着することさえも可能となり、操作性が格段に向上しました。
特徴として、microscrew implantの強度は、プレートタイプと比較すると劣るのですが、それでも約400g程度には耐えることができるといわれており、歯を動かすには十分な強さです。埋入方法も、microscrewを骨に埋入する前にパイロットドリルを用いてガイド穴を形成するセルフタッピングと、直接埋入するセルフドリリングの2通りがあるのですが、どちらも麻酔量はごく少量で、要する時間も1本あたり数分程度のため容易に埋入することができます。埋入部位についても、microscrew自体が細いためいろいろな部位に埋入が可能であり、部位を変えることによって固定源としてばかりでなく、大臼歯の遠心移動や圧下などいろいろな用途に使うことができます。このように、確実な固定源が得られ、これまで難しいとされていた治療も可能となるため、治療期間の短縮にもつながります。また、それ単独で絶対的な固定源が得られるため、全顎的な矯正治療ばかりでなく、限局矯正での少数歯の移動においても多大なる効果が期待できます。
ただし注意点として、インプラントアンカーは本来骨折治療などに用いられる骨接合材料として薬事法に認可されているものであり、矯正歯科治療に用いるのは適応外使用となり保険診療には使用することはできません。また、デンタルインプラントと違い最終的には撤去するため骨との癒着は起こさないためどうしても脱落してしまうことがあります。
このように脱落などの問題点はあるにしても、その成功率は80%を超える程度であり、microscrew implantを用いることにより、治療の幅が増え、治療期間も短縮されることなどからその使用頻度は増加し、非常に大きな注目を集めています。
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