[2006/09/06] 歯科用金属アレルギーって??
 近年,アレルギー疾患は増加の一途をたどり,先生方の中にも花粉症やアトピー性皮膚炎に罹患されている方もいらっしゃると思います.金属アレルギーも幾度かマスメディアに取り上げられたことより,社会的認知度は高まってきているようですが,その一方で,すべての金属がアレルギーを引き起こすような間違った認識もされているようです.歯科用金属アレルギーではないか?と患者さんに相談されたり,皮膚科から治療を依頼された場合の対応および治療法について紹介します.
 免疫反応が過度になり,拒絶反応を生じ,組織の障害や疾病を引き起こす場合に“アレルギー”という言葉が使われます.ある時ある物質をアレルゲンと見なし,拒絶反応をおこし出すと,長期間にわたり,アレルゲンがくると必ず攻撃を繰り返します.以前は何の異常も示さなかったものも,ある時点から,それを異物として認識してしまうとアレルギーを起こしてしまうのです.
 口腔内に症状を示すものもありますが,手掌と足の裏だけに発疹のでる場合や,全身に皮疹のでる場合もあります.以下に代表的な症状を示します.
<扁平苔鮮>
口腔内の症状で一番多く認められる症状で,頬粘膜や歯肉,舌等にレース状,環状の白変を生じます.
<掌蹠膿疱症>
手のひらと足の裏に小さな水疱が多発し,膿疱化し,紅斑を伴う疾患です.異汗性湿疹と呼ばれる疾患も同様の病態のことが多いと言われています.
<全身性接触皮膚炎>
<汎発性湿疹>
全身に生じる皮膚炎で,原因金属の接する部位に関係なく,全身に発疹を生じます.

 金属アレルギーの確定診断にはいずれの疾患もパッチテストを行う必要があります.検査は右の写真のようにいろいろな金属の検査薬をつけたパッチテスト専用絆創膏を背中(あるいは腕)に貼ります.
はがした後の皮膚の反応で,それぞれの金属に
アレルギーがあるかないか判定します.
検査は,(歯科)金属アレルギー外来のある
大学病院(歯学部附属病院)やパッチテストの
できる皮膚科等で行うことができますので,患
者さんから相談された場合には,まずパッチテ
ストを勧めて,確定診断をつけるようにするのがいいでしょう.
 皮膚科から金属アレルギーの治療を依頼された場合は,パッチテストの結果をきちんと情報提供してもらうことから始めます.陽性金属元素が何だったかはもちろん,どれだけの金属元素を調べ,何が陰性だったのか,(すなわち使うことのできる金属元素は何なのか?)を問い合わせます.もし,不確かな場合は,前述と同様にパッチテストを依頼します.治療にあたっては陽性金属元素を含む歯科材料の除去を行います.患者さんには“アレルギーをおこしている元素を含む金属材料を他の材料に替えることで,症状が治癒する可能性があるので除去してみましょう”というような説明が良いかと思います.他のアレルギー因子にも感作していることもあるため,絶対治るとは断言できません.治療に際しては,表面に露出した金属だけでなく,コア材や根管充填剤料,セメントに含まれる金属元素にも注意を払ってください.症状が軽快するまで,暫間修復材料で様子をみてから,最終補綴に移る方がトラブルは少ないと思います.また,除去する前にどのくらいの診療費用がかかるか説明してから治療に入る方がいいでしょう.歯科材料の組成については,『GPのための金属アレルギー臨床:デンタルダイヤモンド社』に詳しい一覧表が載っていますので参考にしてみて下さい.
以下に治療例を示します.
金属は歯科材料のみならず,世の中の多くのものに含まれています.調理用の鍋,アクセサリー等の装身具,化粧品,そして食品の中にも・・・・私たちの生活は金属と切り離すことはできないのです.
一方,アレルギーをおこす物質も金属のみではありません.花粉・ハウスダストは元より,食品,繊維etc. 何でもアレルゲンに成り得ます.
私たち歯科医自身も診療用グローブを常用することため,一般の人より,グローブのラテックスや加硫促進剤にアレルギーをおこす割合が高いようです.アレルギーをおこさないためにも,手に傷がある場合は,必ず絆創膏等をした後,グローブを使用してください.


ご質問等あれば下記まで.
hosoki@dent.tokushima-u.ac.jp
第二補綴 細木真紀

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