[2006/07/01] 放射線治療
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部
再生修復医歯学部門 顎口腔病態制御学講座 
口腔顎顔面放射線医学分野
工藤 隆治(12期生)

 現在、癌治療には手術療法、放射線療法、化学療法などがあります。
放射線療法には密封小線源治療や外部放射線治療(以下、外照射)が挙げられます。いずれも手術療法と比べ低侵襲で形態と機能が温存できるという利点があります。  密封小線源治療は歯科領域では早期の舌・口腔癌に適応があり、根治が望めます。
外照射はいわゆる外から放射線を照射することを指します。歯科領域での外照射は、手術に先立って行われる術前照射、手術後の残存病巣に行われる術後照射や何らかの理由で手術が不可能な症例に適応があり、1年当たり数十例の患者さんがおられます。外照射の適応があると判断されれば、放射線治療医(含・歯科医)、放射線治療技師、放射線治療看護師からなる医療チームにより放射線治療の計画、いわゆる治療計画を行います。患者さんは熱可塑性プラスチックからなる頭部固定用シェル(図1)を用いてがっちりと固定され、治療計画用のCTを撮像します。次に、治療計画用ソフトへCT画像を転送します。ネットワーク化された診断用のMRI画像やCT画像などを利用しながら、同ソフト上で腫瘍の輪郭をドロー形式で描出し(図2)、3次元的に放射線の最適な照射方法を決定し、最終的にそれらの情報を直線加速器へ送り、外照射が行われます(図1)。画像検査全般についてはディジタル化が行われ、ネットワークを通じて(図3)、各診療科でJPEG画像として院内WEBによる参照が可能です。
治療計画とはもともと放射線治療医が決定した照射法が患者体内でどのような線量の配分を与えるかを確認する作業であり、その分布図を指すことがありました。近年では、この線量の分布の作成がコンピュータ化され、単に放射線治療医が決定した照射法の確認を行うだけでなく、いわゆるコンピュータシミュレーションとして複数の照射方法を計画し、その中から最適な線量分布を与える方法を選択するようになってきました。現在直線加速器は3台設置されており、X線のエネルギーを4, 6, 10 MVのうちから最適なものを選択できます。
また、更なる正常組織の有害反応の軽減と、癌病巣への線量の集中化、限局化を図るための画期的な方法のひとつとしてIntensity modulated radiation therapy ( IMRT )と呼ばれる放射線治療法があります。これは、人間が試行錯誤を繰り返す代わりに、コンピュータが何千・何万通りの照射ビームの組み合わせから最適なものを選択し、照射方法を決定する治療法です。さらに、その複雑な照射方法が、コンピュータによって非常に高精度で制御される治療装置によって確実に実施されます。この方法だと、従来の方法に対して、腫瘍への線量集中度を格段に高めることとなります。そのIMRTも現有のシステムで行うことが可能ですので、今後は主流となっていく可能性があります。
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