[2006/03/09] 睡眠時無呼吸症候群と歯科病棟での取り組み
徳島大学歯学部附属病院 歯科口腔外科(第一口腔外科所属)
湯浅哲也(14期生)

 平成15年2月に起きた山陽新幹線運転手の居眠り運転により、睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)が社会的に注目されるようになりました。折しも、睡眠時無呼吸症候群の治療法として歯科的口腔内装置が平成16年4月から健康保険適応となり、歯科領域でも睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠呼吸障害への関わりが大きくなってきました。
 睡眠時無呼吸症候群は、呼吸運動そのものが停止する中枢型(central sleep apnea syndrome: CSAS)と無呼吸発作中も呼吸努力が認められるが気道が閉塞するために無呼吸を生じる閉塞型(obstructive sleep apnea syhdrome: OSAS)、および両者の混合型(mixed type)に分けられます。混合型は閉塞型の一種とみなされるため、睡眠時無呼吸症候群は中枢型と閉塞型に分けられる。歯科領域で扱うのはほとんどが閉塞型に限られます。
 睡眠時無呼吸症候群は1976年Guilleminaultにより「一晩(7時間)の睡眠中に睡眠段階に無関係に10秒以上の無呼吸が30回以上、または睡眠1時間あたりの無呼吸数が5回以上出現する症候群」と定義されました。現在では、無呼吸のみならず、換気量が減少し酸素飽和度の低下する低呼吸でも同様の病態を生じることから、現在では無呼吸低呼吸指数(apnea-hypopnea index: AHI)を診断基準に用いるのが一般的となっている。
 OSASの症状として、いびき、日中の過度の眠気、不眠、夜間の多動、夜間多尿・夜尿症、早朝の頭痛、性格の変化と精神症状、性欲の減退などがあげられる。また全身的合併症として、多血症、高血圧、不整脈、肺高血圧・右心不全、虚血性心疾患、発育・成長障害があげられる。肥満が本症の危険因子であり、体重増加につれて本症が発症し、減量とともに改善することが見受けられます。
 主な治療法として、まず減量や基礎疾患の治療が行われます。積極的治療法として、経鼻式持続陽圧呼吸療法(nasal continuous positive airway pressure: nCPAP)、歯科的口腔内装置、外科療法(気管切開、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術など)、原因療法(扁桃肥大、アデノイド、鼻中隔彎曲症などの治療)、薬物療法などがあげられる。とくに、歯科的口腔内装置は、臨床的にいびき症および軽症〜中等症のOSASに用いられます。口腔内装置の臨床的効果は高く、スリープスプリントに限って言えば適応を正しく選択することによりほぼ100%と良好です。手術やnCPAPに比べ負担が少なく簡便なため、旅行や出張などにも簡単に持ち運べます。
 さて、歯学部附属病院においても2005年6月より睡眠時無呼吸患者に対して、終夜睡眠ポリグラフィの検査入院を行っています。医学部から紹介を受けた患者様に対して、金曜日に入院していただき、夜終夜睡眠ポリグラフィの検査を行い、土曜日の朝帰っていただきます。後日医学部を受診・診断していただき治療法を決定してもらうこととなっています。現在、ほぼ毎週検査入院患者がいて、場合によっては2〜3週間待っていただくこともあります。歯科病棟では、本年10月より部屋を改装し、専用の検査部屋も準備しております。
 先生方、是非、検査が必要だと思われる患者様がいましたら、医学部(呼吸器内科など)あるいは私宛に相談していただければ幸いに存じます。
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